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東京コミュニケーションアート専門学校 特別講義|2017年2月

2017年(平成29年)2月、東京コミュニケーションアート専門学校にて、将来動物に関わる仕事を目指す学生の皆様に向けて、ペット防災に関する特別講義を実施いたしました。

災害が頻発する日本において、ペットの命と飼い主の安全を守るためには、行政だけでなく民間専門家の力が不可欠です。

本記事では、セミナー当日に若者たちへ伝えた現場のリアルな体験と、そのメッセージの背景にある「動物取扱事業者がペット防災において果たすべき具体的な役割」について解説いたします。

【セミナー報告】熊本地震の同行避難の現実と、若者たちへのメッセージ

今回の特別講義では、当法人が支援に入った熊本地震における「同行避難の現実」と、これから社会に出る学生たちに向けた「プロとしての責任と力の大きさ」を中心にお話ししました。

被災地では、ペットを連れた飼い主が避難所での居場所を失い、車中泊を余儀なくされるケースが多発しました。慣れない環境でペットが体調を崩すなど、現場には厳しい現実が存在します。

動物取扱事業者という職業は、単に動物のケアをするだけでなく、命と深く関わる大変重い責任を伴う仕事です。

私が学生の皆様に強く伝えたかったのは、「あなたたちのこれからの行動一つで、災害時の動物たちの状況は大きく変わる」という事実です。

ペット防災の必要性と現場のリアルを知った彼らが、自分たちの持つ影響力の大きさを自覚し、プロフェッショナルとして社会で活躍してくれることを願っています。

熊本地震における支援活動レポート

【解説】動物取扱事業者の「責任と力の大きさ」とは何か?

では、セミナーで学生の皆様に伝えた「プロとしての責任と力の大きさ」とは、具体的に社会においてどのような意味を持つのでしょうか。ペット防災の観点から、動物取扱事業者が果たすべき役割について詳しく解説します。

行政の限界を補完する「共助の要」となること

災害発生時、行政の職員は人命救助やインフラ復旧への対応が最優先となり、ペットのケアにまで十分なリソースを割くことができないのが現実です。

そうした混乱の中、被災した飼い主が最も頼りにするのは、日頃から愛犬や愛猫の習性を熟知し、信頼関係を築いている動物取扱事業者の皆様です。

個別の悩みに寄り添い、専門的な見地から解決策を提示できるのはプロフェッショナルをおいて他にありません。
公的な支援(公助)の限界を補完し、地域社会における共助の要となることが、事業者に求められる大きな役割です。

日常業務を通じた「生きた啓発」と適正飼養の推進

動物取扱事業者だからこそできる最大の防災対策は、日々の業務を通じた飼い主への「生きた啓発」です。

行政が発行する一般的なマニュアルよりも、日頃からお世話になっているトリマーやトレーナーからの具体的なアドバイスの方が、飼い主の行動変容に繋がりやすいためです。

有事の際に必要となるのは、特別な防災テクニックではありません。

平時の「適正飼養」を徹底させることが、そのまま命を守る対策となります。避難所生活の入場券とも言える「クレートトレーニング」の推奨、感染症を防ぐための「ワクチンやノミ・ダニ予防」の徹底、そして「マイクロチップや迷子札の装着」などです。

日常会話の中でこれらの重要性を伝えることで、飼い主の意識は「行政任せ」から「自らの備え」へと確実に変化します。

▶災害への備えは日常から飼い主さんのための「ペット防災ガイド」

地域のハブとなるコミュニティ形成

平時の取り組みとして、店舗や施設を飼い主同士が繋がる「コミュニティのハブ(拠点)」として機能させることも、プロが持つ大きな力です。
災害という非常事態において、最後に人々を支えるのは、同じ境遇にある飼い主同士の人的な繋がりによる力だからです。

事業者が主催するイベントや情報交換の場を通じて顔の見える関係を構築しておけば、有事の際に「落ち着くまでうちで預かるよ」と助け合える互助組織が自然と形成されます。
これは行政には構築できない、民間事業者ならではのセーフティネットとなります。

 顧客を守ることは、事業を守ること

動物取扱事業者が防災に取り組むことは、ボランティア活動にとどまらず、自社の顧客と市場を守るための事業継続計画(BCP)としての側面も持っています。

災害によって地域の飼い主が被災し、ペットとの適切な生活が維持できなくなれば、事業の基盤そのものが失われてしまいます。

顧客に対して適切な備えをアドバイスし、災害を無事に乗り越えてもらうことができれば、復興後も継続してサービスを利用していただくことが可能になります。

「目の前のお客様とペットの安全を守り抜くこと」が、ビジネスと防災を両立させる合理的な取り組みとなります。

学生たちがこうした広い視野を持ち、社会の中で「プロとしての責任」を果たしていくことが、日本のペット防災を底上げする原動力となります。

貴重な機会を与えてくださった東京コミュニケーションアート専門学校の関係者の皆様、そして講義を聞いてくれた学生の皆様に、心より感謝申し上げます。

【実践的な知見に基づくセミナーのご案内】

NPO法人ペット防災ネットワークでは、実際の被災地支援で得た経験とその後の検証に基づき、現場で真に役立つ「実践的なセミナー」を提供しています。

自治体、飼い主、ボランティア、そして事業者の皆様、それぞれの立場に最適化したプログラムの詳細は、以下の案内ページよりご確認いただけます。

[自治体・飼い主・ボランティア・事業者向けセミナーの概要説明]

[これまでの開催実績・検証に基づく活動記録の一覧]

私たちの知見を、皆様の地域や組織における確実な備えにお役立てください。

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