渋谷区防災フェスティバル活動報告:ペット防災セミナーの原点と啓発の重要性
初のペット防災セミナー:熊本地震の教訓を社会へ還元する
2016年9月4日、都立代々木公園で開催された「渋谷区防災フェスティバル(SHIBUYA BOSAI FES 2016)」にて、当法人にとって初となるペット防災セミナー(チャリティー講演)を実施いたしました。
本講演を実施した2016年は、熊本地震が発生した年です。
当法人は発災直後から被災地に入り、環境省や熊本県と連携しながら、ペット同行避難の長期支援活動に従事しました。
当時の私は、被災現場で起きているペットを巡る現実を、少しでも多くの方に直接伝えなければならないという強い思いを抱いていました。
講演では、熊本地震の避難所で実際に生じた課題を詳細に報告しました。
行政による同行避難の枠組みが未整備であったために生じた衛生管理上の問題や、飼い主の事前の備え(クレートトレーニングやワクチンの接種など)が不足していたことによるトラブルなど、現場のリアルな状況を共有しました。
客観的な一次情報に基づくこの報告は、都市部である東京都の飼い主様にとっても、災害を身近なリスクとして再認識していただくための重要な機会となりました。
この日のチャリティー講演は、その後10年間にわたり全国の自治体や各種団体と協働して実施していく「ペット防災セミナー」の確かな原点となっています。

参加型イベントがもたらす高い啓発効果と波及力
渋谷区防災フェスティバルのような、大規模かつ参加型のイベントにおける防災啓発は、社会全体に対する非常に高い効果を持ちます。
従来の会議室等で行われる座学形式のセミナーには、すでに防災意識の高い方々が参加される傾向にあります。
しかし、フェスティバル形式のイベントであれば、これまで防災について深く考える機会のなかった層へも自然な形でアプローチすることが可能になります。
当日の会場となった代々木公園のイベント広場やケヤキ並木には、多数の飲食ブースや協賛企業の出店が並びました。さらに「ペット同伴大歓迎」という方針が取られていたため、愛犬を連れた多数の飼い主様が来場されました。
楽しい日常の延長線上にある空間でペット防災の情報を発信することにより、来場者は過度な緊張を強いられることなく、災害時の行動をシミュレーションしやすくなります。
このように、防災を特別なものとして扱うのではなく、日常のライフスタイルの一部として提示する参加型イベントは、ペット防災の裾野を広げる上で極めて有効な手法であると実証されました。
自助と公助を繋ぐ:行政と民間が連携する支援体制の構築
災害時のペット同行避難を実効性のあるものにするためには、飼い主自身による「自助」の徹底と並行して、行政による的確な「公助」の枠組み作りが必要不可欠です。
飼い主が平時からフードの備蓄やしつけを行っていても、自治体が運営する避難所に明確な受け入れ基準やゾーニング(居住空間の棲み分け)のルールがなければ、動物が苦手な方やアレルギーを持つ方との間で軋轢が生じます。
ペットの同行避難を個人の自己責任として放置すれば、結果的に避難所運営全体を揺るがす大きな問題へと発展します。
当法人は、本イベントでの講演を皮切りに、行政や自治体に対する積極的な提言を続けてまいりました。
現在では、内閣府の「国土強靱化 民間の取組事例集」に掲載されている民間企業(LINE福岡など)との連携プロジェクトへと活動の幅を広げています。
当法人が監修した Fukuoka SmartCity Community 「防災選」はこちら
また、環境省が策定した「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を基礎としながら、各地域の特性に合わせた独自の防災計画の立案も支援しています。
今後も、このような啓発イベントを起点として、飼い主の意識向上と行政の支援体制構築の双方に働きかけ、社会全体でペットの命を守る環境づくりを推進してまいります。
【実践的な知見に基づくセミナーのご案内】
NPO法人ペット防災ネットワークでは、実際の被災地支援で得た経験とその後の検証に基づき、現場で真に役立つ「実践的なセミナー」を提供しています。
自治体、飼い主、ボランティア、そして事業者の皆様、それぞれの立場に最適化したプログラムの詳細は、以下の案内ページよりご確認いただけます。
[自治体・飼い主・ボランティア・事業者向けセミナーの概要説明]
私たちの知見を、皆様の地域や組織における確実な備えにお役立てください。



