
ペット災害危機管理士1級特別講義
2018年と2019年の2回に渡り、熊本地震で大きな被害を受けた地域の応急仮設住宅「テクノ仮設」を特別な会場とし、「ペット災害危機管理士1級特別講義」という形でセミナーを実施いたしました。
この講義は、全国各地からペットの防災に関心を寄せる熱意ある受講生の皆様にお集まりいただき、熊本地震における実際のペット支援の生々しい現実と、今後のペット関連の防災支援がどうあるべきかについて、被災地の経験を踏まえて深く学ぶことを目的としたものです。
講義では、熊本地震発生時からペットと飼い主のために尽力された岩田ともこ県会議員から行政の視点と直面した課題を、また、多くの被災ペットの一時預かりに奔走された山本志穂さんからは民間支援の最前線での奮闘と具体的な支援ニーズを、そして実際にペットとの同行避難を経験された飼い主さんたちからは、当事者でなければ語れない切実な体験談や避難生活での困難について、直接お話を伺う貴重な機会を設けました。
これらの実体験は、どんな教科書よりも重く、受講生の皆さんのペット防災に対する意識を根底から揺さぶり、具体的な行動へと変革する大きな力があったと確信しています。
被災地では、事前に準備されたマニュアルや単なる知識、いわゆる机上論だけでは通用しない場面が数多く存在します。
ペットの命を守り、飼い主の心に寄り添うためには、状況に応じた柔軟な判断と行動が不可欠です。
だからこそ当団体では、熊本地震をはじめとする実際の被災地でのペット支援経験に基づいた、より実践的な「ペット防災ボランティアリーダー育成講座」という専門的なセミナープログラムを開講しています。
この講座は、座学だけでなく、過去の災害事例の詳細な分析や図上訓練(シミュレーション)、さらにはリーダーシップ論や多機関連携のノウハウまで含み、地域におけるペットの防災対策を牽引できる人材を育成することを目的としています。
それぞれの地域コミュニティにおいて、災害時に迅速かつ的確なペット支援活動を展開し、行政や他の支援団体との橋渡し役ともなれる「ペット防災ボランティアリーダー」を育成することが、これからの日本の防災体制を考える上で急務であり、私たちの重要な使命であると考えています。