【活動報告】柏市「飼い主さんのためのペット防災セミナー」
千葉県柏市にて「飼い主さんのためのペット防災セミナー」を開催
2026年1月17日(土)、千葉県柏市の「ウェルネス柏」にて、かしわ動物福祉・共生協会様主催による「飼い主さんのためのペット防災セミナー」が開催されました。
今回は、「あなたとペットの『もしも』を『いつも』の備えで乗り越える」をテーマに、災害時におけるペットとの同行避難や日頃の備えについて、約2時間にわたりお話しさせていただきました。
会場には定員に近い30名を超える方々にお集まりいただき、柏市内のみならず、近隣の流山市や、遠くは埼玉県川口市からもご参加いただきました。
週末の貴重なお時間を割いて足を運んでくださった皆様、そして開催に向けて尽力してくださった主催者の皆様、柏市動物愛護ふれあいセンターの皆様に、まずは心より感謝申し上げます。
イベント名: 飼い主さんのためのペット防災セミナー
日時: 2026年1月17日(土) 13:30~15:30
会場: ウェルネス柏 4階研修室
主催: かしわ動物福祉・共生協会
後援: 柏市
協力: NPO法人ペット防災ネットワーク
柏市 「ペット避難受入に関するガイドライン」
セミナーの中でも触れさせていただきましたが、柏市は独自の「ペット避難受入に関するガイドライン」を策定しており、今年で運用3年目を迎えるそうです。担当者の方にお話を伺いましたがこのガイドラインが出来るまでには相当な苦労と時間を要したとの事でした。
多くの自治体では、まだ「ペットは避難所に入れるのか?」「どこに繋ぐのか?」といった基本的なルールすら曖昧なケースが少なくありません。 しかし、柏市では指定避難所ごとにペットの受入れスペースが具体的に決められています。
今回そのガイドラインを拝見し、災害時の現場の混乱を最小限に抑えようとする工夫と、「避難所は人のためのもの」という大原則を守りつつ動物福祉にも配慮された内容に、深く感動いたしました。
今回のセミナーに、柏市動物愛護ふれあいセンターの職員様が全面的にご協力くださったことも、行政の本気度を象徴しています。広報から当日の会場設営に至るまで、「何から何まで」サポートしていただいたと主催者様から伺っております。 そして会場には多くの飼い主さんがお越しになり、その熱気がひしひしと伝わってきました。
柏市ペット受け入れに関するガイドラインはこちらから外部リンクPDF
「飼い主としての責任」とはなにか?
今回のセミナーで、僕が最も力を込めて、そして時間を割いてお話ししたテーマ。 それは、ペット防災のテクニックやグッズの話の以前にある、「飼い主としての責任」についてです。
「ペット防災」と聞くと、多くの人は「何を買えばいいですか?」「どこの避難所に行けばいいですか?」という「How to(方法論)」を求めがちです。もちろん、それらも重要です。 しかし、どれだけ防災グッズを揃えても、どれだけ立派な避難所があっても、飼い主自身に「この子の命は私が守る」という覚悟と、平時からの「適正飼養」がなければ、災害という極限状態を乗り越えることはできません。
セミナーの中で、飼い主の皆さんに、こう問いかけました。 「災害時に、家族であるペットを守れるのは誰だと思いますか?行政ではありません。ボランティアでもありません。飼い主である皆さんだけなんです」
私たちは災害に備えなければなりません。 日頃から健康管理を行い、迷子対策をし、飼い主自身が社会の一員としてルールを守る。 それこそが、飼い主としての本当の責任であり、愛情なのです。
動物と暮らす毎日は「奇跡」の連続 「うっちゃん」が教えてくれたこと
セミナーの終盤、僕は自身の愛猫「うっちゃん」の話をさせていただきました。 僕自身、かつては動物に特別な関心があったわけではありません。しかし、うっちゃんという一匹の猫との出会いが、僕の人生を変え、今のペット防災活動へと導いてくれました。
うっちゃんは、今年(2026年)の1月4日、14歳9ヶ月で虹の橋を渡りました。 うっちゃんは僕に「命の尊さ」と「守るべきものの重さ」を教えてくれた、かけがえのない存在です。
「動物と一緒に暮らす毎日は、奇跡のような特別な日々なんです」
「朝起きて「おはよう」と声をかけること。 温かい体を撫でること。 ご飯を食べる音を聞くこと」
「そんな毎日は、本当に特別な日々なんです」
そう参加者の皆様にお伝えしている最中、うっちゃんとの思い出が鮮明に蘇ってきました。
いつもの愛らしい姿、家に帰るといつも出迎えてくれたこと、すやすやと安心して眠る姿、そして最期の瞬間の温もり。
さまざまな想いが込み上げ、僕は壇上で涙をこらえることができず、しばらく言葉に詰まってしまいました。
講師として、冷静に話を進めるべき場面だったかもしれません。 しかし、会場の皆様は、僕の沈黙を静かに、そして温かく見守ってくださいました。
セミナー終了後、聴講されていた動物愛護センターの職員様から、 「これまで色々なペット防災セミナーを聴講してきましたが、一番素晴らしい内容でした」 という過分なお言葉をいただきました。 うっちゃんが、僕の言葉を通じて、大切なことを皆様の心に届けてくれたのかもしれません。
忘れられない出会い~小さな少女の涙~
この日のセミナーには、僕にとって生涯忘れられないであろう、ある出会いがありました。
会場の前方、お父さんと一緒に並んで座っていた、小学生くらいの女の子。 これまで数多くのセミナーを行ってきましたが、これほど小さなお子さんが、2時間という決して短くない講義に最初から最後まで参加してくれることは、僕の経験でも初めての事です。 女の子はメモを取りながら、一生懸命僕の話を聞いてくれていました。その姿がとても印象的で、僕は講演中、ずっと彼女のことが気になっていました。
セミナーが終了し、参加者の皆様が帰り支度を始めた頃、僕はどうしても彼女と話がしたくて声をかけました。
「今日は来てくれてありがとう。お父さんと来たの?お家では何を飼っているの?」
僕が屈み込んで尋ねると、彼女は少し俯き加減で、小さな声で答えました。
「……猫」
「猫ちゃんか、かわいいよね。」そう続けようとした時、横にいらしたお父さんが、僕にだけ聞こえるような静かな声で教えてくれました。
「実は……昨日、亡くなったんです」
僕は息を呑みました。 まだ2歳の、保護猫だったそうです。 昨日という、あまりにも辛いタイミング。悲しみがまだ癒えるはずもないその時に、彼女はこの「ペット防災セミナー」に来ていたのです。
改めて彼女の顔を見ると、その瞳には涙が浮かんでいました。それでも、彼女はそれをこぼさないよう、唇を噛み締めて我慢していました。
昨日、大切な家族を失ったばかりの女の子が、話を聞きに来てくれた。 その心中を思うと、胸が締め付けられる思いでした。 「もっと何かしてあげられたのではないか」「守ってあげたかった」 そんな後悔や、残された他の猫たちへの想いがあったのかもしれません。
お家には、まだ2頭の猫ちゃんがいるそうです。 僕は、涙をこらえる彼女の目を見て、できる限りの優しさを込めて伝えました。
「その子たちのこと、大切にしてあげてね」
ありきたりな言葉しか出てきませんでした。 でも、彼女は僕の言葉を聞いて、小さく、けれどもしっかりと頷いてくれました。 その力強い頷きに、僕は彼女の中にある「責任感」と「深い愛情」を見ました。彼女はきっと、天国へ行った猫ちゃんの分まで、今いる猫たちに愛情と責任を持って接してくれるはずです。
動物と暮らすということは、単にかわいがるだけではありません。
そこには「命を預かる責任」と、「深く大きな愛情」が必要です。
これからも、一つでも多くの命が守られるよう、僕にできることを伝えていきたいと思います。
今後の決意
柏市の取り組みは先進的ですが、もちろん課題が全くないわけではありません。 しかし、行政、ボランティア、そして何より飼い主の皆さんが「本気で」取り組もうとしている姿を見て、確信しました。 この街なら、必ず人とペットが共生できる地域社会を作ることができる、と。
僕たちNPO法人ペット防災ネットワークも、柏市の取り組みを全力でサポートしていく決意です。
謝辞
最後になりましたが、素晴らしい会場と機会をご用意いただいた「かしわ動物福祉・共生協会」の皆様。 多大なるご支援をいただいた柏市動物愛護ふれあいセンターをはじめとする柏市職員の皆様。 そして、週末のお忙しい中、会場へ足を運び、熱心に耳を傾けてくださった参加者の皆様。
本当にありがとうございました。 また皆様にお会いできる日を楽しみにしています。




