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ペット防災は「いつか」ではなく「今から」。福岡市での飼い主向けセミナーを開催しました

9月24日(水)、福岡市南区の「P2西長住店 Love Nature Charity 棟」にて、防災セミナー『「いつか」ではなく「今から」備える〜ペット防災の実情と日頃の準備〜』を開催いたしました。

近年、全国各地で自然災害が頻発し、ペット防災への関心はかつてないほど高まっています。本セミナーは福岡市からのご依頼を受け、地域にお住まいのペットの飼い主さんを対象に、災害という非日常時に、愛するペットと自分自身の命を守るための具体的な知識と備えを「自分ごと」として捉えていただくことを目的に開催しました。

意識の高い飼い主さんと、お利口なペットたち

当日は、多くの飼い主さんが真剣な眼差しで参加してくださいました。配布した資料に熱心にメモを取る姿からは、「ただ話を聞くだけでなく、今日から実践する」という強い意志が伝わってきます。

また、今回はペット同伴可能なセミナーということもあり、数頭のわんちゃんも一緒に参加してくれました。驚いたことに、約2時間というセミナーの間、どのわんちゃんも非常に落ち着いており、吠えたり騒いだりすることなく、静かに飼い主さんの足元で待つことができていました。 これは、私たちがセミナーで常々お伝えしている「日頃からのしつけと信頼関係」の重要性をまさに体現している光景でした。避難所という慣れない環境で過ごすストレスを少しでも和らげ、周囲に迷惑をかけないためのスキルは、一朝一夕では身につきません。日々の積み重ねこそが、いざという時の安心に繋がることを改めて実感させられました。

セミナーでお伝えした「今から」できる具体的な備え

今回のセミナーでは、当NPO法人が監修したペット防災ガイドブック「みんなのペット防災ガイド」の内容に基づき、具体的な備えについてお話ししました。

特に、過去の災害で実際に撮影されたペットと飼い主さんの被災状況の写真をスクリーンに映し出しながら説明することで、参加者の皆様には、ペット防災を「いつか来るかもしれない遠い話」ではなく、「自分の身に起こりうる現実」として、真剣に感じていただけたようでした。

セミナーでお伝えした備えの柱は、以下の通りです。

1. 「まずは、自分を守る」飼い主自身の安全確保 ペットを守るためには、まず飼い主さん自身が無事でなければなりません。セミナーでは、ハザードマップで自宅周辺の災害リスクを確認すること、安全な避難場所や複数の避難経路を事前に歩いてみること、そして家具の固定やガラスの飛散防止フィルムを貼るなど、自宅の防災対策を徹底することの重要性をお伝えしました。飼い主の安全確保こそが、ペット防災の第一歩です。

2. 「普段から」実践する、飼い主としてのあり方 災害は突然やってきます。特別な準備だけでなく、普段からの飼い方そのものが防災に繋がります。ケージやキャリーバッグに慣れさせておく「ハウストレーニング」や、むやみに吠えないなどの基本的なしつけ、そしてワクチン接種やノミ・ダニ予防といった健康管理。これらはすべて、避難所での集団生活を円滑にし、ペット自身のストレスを軽減するために不可欠な「適正飼育」の一環です。

3. 「備蓄をする」ローリングストック法の実践 災害時用の特別なフードを準備するのではなく、普段から食べているペットフードや消耗品を少し多めに買い置きし、古いものから使い、使った分を買い足していく「ローリングストック法」を推奨しました。これにより、常に新鮮な備蓄を確保できるだけでなく、フードが変わることによるペットの体調不良も防げます。フードや水、常備薬、トイレ用品などを最低でも5日〜7日分は備えておくようお伝えしました。

これらの準備は、決して難しいことではありません。すべて「今から」日々の暮らしの中で始められることばかりです。

自治体との連携:セミナー開催の背景

今回のセミナー開催に先立ち、私たちは福岡市の動物愛護管理センターおよび生活衛生課のご担当者様と、自治体におけるペットの災害対策に関するミーティングを実施しました。 平時から行政と連携し、ペット同行避難が可能な避難所の事前指定や、受け入れ時の具体的な運営方法、地域住民への情報伝達手段など、現場レベルでの課題を共有し、解決策を協議することは極めて重要です。机上の空論で終わらせない、現場に根差した支援体制の構築は、私たちの活動の根幹です。

NPO法人ペット防災ネットワークの特色:飼い主さんへの啓発の、その先へ

私たちNPO法人ペット防災ネットワークは、飼い主さん一人ひとりへの防災知識の啓発を、活動の基本として非常に重要視しています。

しかし、私たちの活動はそれだけにとどまりません。私たちの大きな特色は、飼い主さんへの啓発活動と同時に、自治体におけるペットの災害対策そのものを前進させるための働きかけを行っている点にあります。

環境省のガイドラインには自治体の役割が示されていますが、その整備状況は全国的に見ればまだまだ発展途上です。私たちは、各自治体が地域の獣医師会や関連企業とスムーズに連携し、実効性のある動物救護体制を構築できるよう、過去の災害事例の知見や専門的な情報を提供しています。目指すのは、日本のどこで災害が起きても、一定水準の動物救護が受けられる社会の実現です。

飼い主さんへの直接的なアプローチと、社会システムを動かす間接的なアプローチ。この両輪で活動していることが、私たちの活動の最大の特徴です。

私たちの活動を支えてください:サポーター募集

福岡市でセミナーに参加された皆さんのような、熱意ある飼い主さんの存在が私たちの原動力です。この輪をさらに全国に広げ、自治体との連携を深め、日本のペット防災体制を標準化していくためには、継続的な活動が不可欠です。

この取り組みをさらに加速させるため、私たちの活動を支えてくださるサポーターを募集しています。あなたのご支援が、一つでも多くの自治体の備えを強化し、救える命を増やす力になります。

NPO法人ペット防災ネットワークのサポーターになる

感謝

最後になりましたが、本セミナーの開催にご尽力いただいた福岡市動物愛護センター、生活衛生課の皆様、熱心にご参加くださった地域の飼い主様、そして素晴らしい会場をご提供くださったP2様へ、心より感謝申し上げます。

今後もNPO法人ペット防災ネットワークは、ペットと人が安心して暮らせる社会を目指し、活動を続けてまいります。

当法人が監修したFukuokaSmartCityCommunity「防災選」はこちら

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