
九州豪雨災害 ペット同行避難支援
2020年九州豪雨災害におけるペット同行避難支援:連携と後方支援の力
2020年7月に発生した九州豪雨災害は、熊本県を中心に甚大な被害をもたらし、多くの住民が避難を余儀なくされました。
その際、当団体は、熊本県からの正式な要請を受け、認定NPO法人日本レスキュー協会をはじめ、全国の志を同じくする支援団体や個人の皆様と緊密に連携し、被災地におけるペット同行避難への支援活動を展開いたしました。
この迅速な対応が可能となった背景には、日頃からの全国規模での連携体制の構築が不可欠でした。災害はいつ、どこで発生するかわかりません。
平時から情報交換や研修を通じて顔の見える関係を築き、互いの専門性やリソースを把握しておくことが、有事の際に即座に協力し合える基盤となります。今回の災害では、このネットワークを通じて、広範囲から専門知識を持つ人材や必要な物資を効率的に集めることができました。
各保健所の担当者の方々が避難所の状況を詳細に確認し、その情報を熊本県に取りまとめていただいたおかげで、ペットと飼い主が直面している具体的な課題やニーズを正確に把握する事が可能となりました。
「熊本県を通じて現地で本当に必要とされている支援物資は何か」という情報を常に共有し、行政の持つ情報集約力と、私たち民間団体の持つ機動力や専門性を組み合わせることで、支援のミスマッチを防ぎ、効果を最大化できたのです。
私たちの活動の核心は、「必要なものを、必要な場所へ、必要な時に」届ける後方支援にありました。当団体の呼びかけに応じてくださった全国の心ある団体や個人の皆様から寄せられた貴重な支援物資を、日本レスキュー協会と当団体が責任を持って熊本県動物愛護センターへと搬入しました。この後方支援に徹することで、私たちは現地の混乱を避けつつ、ピンポイントで真に必要な支援を届けることができました。
特筆すべきは、これらの支援活動の多くが、被災地に直接行かなくても実現できたという点です。全国各地からの物資の寄付はもちろんのこと、情報の拡散、専門知識の提供(オンラインでの飼育相談対応など)、あるいは後方での連絡調整や事務作業といった形でも、多くの方々がこの支援の輪に参加してくださいました。これは、誰もがそれぞれの場所で、自分のできる形で被災地のペットと飼い主を支えることができるという、力強い証左です。
この2020年九州豪雨災害での経験は、平時からの多様な連携体制の重要性と、的確な情報に基づいた後方支援の有効性を改めて私たちに教えてくれました。今後もこの教訓を活かし、全国の皆様、そして自治体との連携を一層強化し、いついかなる時も、ペットと人が共に安心して避難できる社会の実現を目指して活動を続けてまいります。