2016年4月に発生した熊本地震は、ペットとの「同行避難」が社会全体に広く認識される大きな転換点となりました。

発災直後、当団体（当時：一般社団法人HUG）は、被災者の皆様と大切なペットを支援するため、いち早く活動を開始いたしました。特に被害が甚大であった益城町に拠点を構え、行政（益城町、環境省）と緊密に連携し、ペットと飼い主さんが共に安心して過ごせる一時預かり施設「益城町わんにゃんハウス」を開設・運営いたしました。

「益城町わんにゃんハウス」では、ペットの基本的なお世話は飼い主さんご自身が行う「自助」を原則としつつ、当団体のスタッフは、そのサポート、適正飼育に関する丁寧な指導、そして心のケアのための相談などを主な役割としました。全国から集まった多くのボランティアの皆様、施設の管理者の方々、熊本県獣医師会の先生方、益城町、環境省、そして何よりも大切な被災された飼い主さん同士が互いに助け合い、支え合うことで運営は成り立ち、避難所が閉鎖されるまでの約半年間で、犬延べ38頭、猫延べ19頭、計57頭、43家族の皆様にご利用いただきました。この取り組みは、飼い主責任に基づく同行避難と、公的な支援が連携した、全国に先駆けた先進的なモデルケースとなりました。

また、「益城町わんにゃんハウス」の運営と並行して、益城町内の多数の避難所を巡回し、ペットに必要な物資の提供や、飼い主さんの抱える様々なご不安やご相談に対応いたしました。さらに、被災された方々への丁寧な聞き取り調査や、避難所運営の実際についての検証も実施いたしました。この長期にわたる現場での支援活動を通して、平時からの備えがいかに重要であるか、そして、飼い主の皆様、自治体の皆様、獣医師会の皆様をはじめとする関係機関が、互いに連携し協力し合うことの必要性を改めて強く認識いたしました。熊本地震での経験は、その後の当団体の活動の根幹をなす、かけがえのない教訓となっています。

益城町わんにゃんハウス