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福岡市家庭動物啓発センター「ペット防災講演」活動報告:官民連携による支援の枠組み作り

2018年9月28日、福岡市家庭動物啓発センターにて、福岡市職員およびボランティアの皆様を対象としたペット防災講演に登壇いたしました。

福岡市には動物愛護センターが2カ所存在し、東部の「あにまるぽーと」に対し、西部に位置する当センターは収容施設を持たず、主に地域猫対策や適正飼養の啓発活動を担う拠点となっています。

福岡のみなさんへの恩返し

本講演は、熊本地震の発災時に益城町で運営した被災ペット一時預かり施設「わんにゃんハウス」に対し、多大なご支援をいただいた福岡市内のペットサロン経営者様からのご縁で実現しました。

熊本地震の際」、隣県である福岡からは多くの温かいご支援を賜りました。その恩返しの気持ちも込めてお話させていただきました。

講演では、熊本地震の検証結果に基づき、災害時におけるペット支援の考え方と具体策についてお話ししました。

災害時のペット同行避難において、最も基本となるのは飼い主自身の「自己責任(自助)」です。日頃からペットを適正に飼養し、災害を想定した備えを行っておくことが前提となります。

しかし、現実の被災現場では個人の備えだけでは限界が生じるため、行政が果たすべき公助の役割が不可欠となります。

ペット問題は「被災者全体の問題」であるという認識

自治体が災害時に同行避難支援を行うべき最大の理由は、ペットの問題が飼い主個人の問題に留まらず、被災者全体の問題へと直結するからです。

過去の災害においても、ペットの同行避難が避難所内でのトラブルを生み、それが被災者の健康や自治体の対応課題に発展するケースが多発しています。
同行避難を飼い主の自己責任として行政が放置すれば、鳴き声や衛生管理を巡る問題が生じ、最終的には復興の遅れにも繋がる事態となります。

環境省のガイドラインにも明記されている通り、自治体はペット同行避難への対策を「被災地全体への対策」として捉える必要があります。
避難所でのスペース分離の計画策定や、ペット受け入れの可否に関する事前周知など、平常時から同行避難支援の枠組みを構築しておくことが、結果的に災害時の自治体の負担を軽減することに繋がります。

官民連携の重要性:平時からの信頼関係がいざという時の備えに

大規模災害の発生直後、自治体には膨大な業務が集中し、職員の方々も自ら被災する中で、ペット支援に十分な人的資源を割くことは現実的に困難です 。
この課題を解決するための鍵が、平時からの「官民連携」の構築です 。

自治体と民間ボランティアが連携する最大の意義は、専門的な知見の活用と、現場における迅速な課題解決にあります。

例えば、同行避難支援は専門的な知識や経験を必要とする活動であり、避難所運営者がそのノウハウを全て持っているわけではありません 。
あらかじめ登録されたボランティアや専門家にペット対応の枠組みを委ねることで、避難所責任者は本来の多忙な業務に注力できるようになり、結果として自治体全体の負担軽減に繋がります 。

しかし、災害時の混乱の中で、突如として連携を成立させることは不可能です。
熊本地震では、行政と民間の連携が必ずしも十分に機能しなかった場面も確認されました 。
大切なのは、平常時から行政と民間が密なコミュニケーションを取り、強固な信頼関係を築いておくことです 。

福岡市動物愛護推進協議会委員としての現在と未来への提言

現在、私は福岡市動物愛護推進協議会委員を拝命し、主にペットの災害対策に対する専門的な提言を行っています。

福岡市動物愛護推進協議会についてはこちら

熊本地震の検証や西日本豪雨等での現場経験に基づき、福岡市のような大都市において、どのように飼い主の自助と行政の公助を噛み合わせるべきか、政策的な視点から支援のあり方を模索し続けています 。

特に注力しているのは、同行避難を「被災者全体の支援」として位置づけ、防災計画の大きな柱の一つとして組み込むための働きかけです 。

具体的には、避難所や緊急避難所でのペット受け入れ体制の具体化、官民連携、そして飼い主への適正飼育の啓発などが挙げられます 。

災害時のペット問題は、飼い主だけの問題ではありません。

ペットを飼養していない被災者も含め、誰もが安心・安全に避難生活を送るためには、行政と民間が同じ方向を向き、共通の認識の下で支援の枠組みを動かしていくことが不可欠です 。

加えて、福岡市家庭動物啓発センターが注力する「適正飼養の啓発」を、災害時の具体的な行動へといかに結びつけるか。この課題に対しても、私は引き続き協議会委員としての役割を果たし、平時からの信頼関係を基盤とした、実効性のあるペット防災体制の構築に尽力いたします。

福岡市の皆様と連携し、人と動物が共生できる、災害に強い地域社会の実現を目指してまいります。

福岡市推進協議会における自治体向け提言の詳細はこちら

【実践的な知見に基づくセミナーのご案内】

NPO法人ペット防災ネットワークでは、実際の被災地支援で得た経験とその後の検証に基づき、現場で真に役立つ「実践的なセミナー」を提供しています。

自治体、飼い主、ボランティア、そして事業者の皆様、それぞれの立場に最適化したプログラムの詳細は、以下の案内ページよりご確認いただけます。

[自治体・飼い主・ボランティア・事業者向けセミナーの概要説明]

[これまでの開催実績・検証に基づく活動記録の一覧]

私たちの知見を、皆様の地域や組織における確実な備えにお役立てください。

福岡市家庭動物啓発センターでのペット防災セミナーのようす

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