偽情報に注意!災害時愛犬・愛猫の命を守る「情報防災術」

災害時、飼い主であるあなたが無事でなければ大切な家族であるペットを守れません。
今回はペット防災で重要な「情報災害(インフォデミック)対策」について詳しく解説します。
災害への備えとして、フードや飲料水、避難用ケージを用意している飼い主さんは多く見られます。
しかし、お手元にあるスマートフォンの画面から流れてくる情報への対策は十分でしょうか?
災害が発生した直後から、インターネット上には真偽不明の情報があふれかえります。
不確かな情報に惑わされず、正しい判断を下すための思考法を身につけることは、備蓄品を揃えることと同等に必要な対策です。
災害時の偽情報の蔓延とその実態
災害時において、間違った情報や意図的な偽情報が流布されることは、もはや避けられない前提条件として認識しておく必要があります。インターネット上には事実に基づかない情報が必ず発生するという事実を念頭に置き、平時から情報を精査する能力を培っておかなければなりません。
なぜ、災害という人の命がかかった状況で偽情報が発信されるのでしょうか?そこにはいくつかの明確な動機が存在します。
まず挙げられるのが、SNSにおける広告収益を目的とした「インプレッション稼ぎ」です。
一部のSNSプラットフォームでは、投稿の閲覧数に応じてアカウントの所有者に金銭的な報酬が支払われる制度が存在します。
この仕組みを悪用し、収益を得る目的で人々の関心を引く過激な情報を意図的に発信する行為が横行するのです。
災害時は多くの人が情報を求めてインターネットにアクセスするため、インプレッション稼ぎを行う者にとって絶好の機会に他なりません。
被災地とは全く関係のない第三者が、過去の災害映像や海外の事故動画を、あたかも現在起きている事象のように偽って投稿する事例が後を絶たないのです。
偽情報が発信される動機は金銭的な目的だけではありません。
非常時という混乱に乗じて、自分自身に注目を集めたいという個人的な「承認欲求」や、社会の反応を見て楽しむといった身勝手な心理から虚偽の情報が作られるケースも多く見られます。
実際の事例として、2024年に発生した能登半島地震では、SNS上に「倒壊した建物に親族が閉じ込められている」という事実無根の救助要請を投稿した人物が逮捕されました。
この投稿の動機は、まさに非常事態に乗じて自分に注目を集めたいという個人的な欲求でした。
この情報を確認した警察機関は、人命救助のために、実際に複数の隊員を現場へ派遣しました。
結果として、本来であれば別の場所で、本当に助けを求めている命を救うために使われるべき貴重な人員と時間が、この不確実な情報によって奪われてしまったのです。
2016年の熊本地震においても、「動物園からライオンが逃げ出した」という虚偽の情報が画像付きで投稿されました。
この情報により、近隣住民は強い不安を感じることとなりました。
事実確認のために警察や行政機関への問い合わせが殺到し、現地の対応窓口が機能しなくなる事態が発生しました。
これらの事例が示すように、災害時の偽情報は明確な意図や個人の欲求に基づいて生成され、社会に大きな混乱をもたらします。
悪意ある発信者が存在するという前提で情報に触れる必要があります。
偽情報にによる実害
インターネット上に蔓延する偽情報を鵜呑みにしてしまい、自分自身が騙された場合に生じるマイナスについて解説します。
偽情報から身を守ることは、無駄な行動を取ることなく、自分自身を守ることに繋がります。
災害という非日常の中では、誰もが「早く安全な場所へ移動したい」「確実な情報を得たい」という焦りを抱えています。
その心理状態の時に、インターネット上の不確かな情報を事実確認せずに信じ込んでしまうと、自身の安全を脅かす行動を選択してしまいかねません。
具体的なケースとして、SNS上の「〇〇避難所が開設されており、物資も豊富で誰でも入れる」という偽の避難所情報を信じて移動を開始した事例が挙げられます。
飼い主が苦労してその避難所にたどり着いた結果、実際にはそこではペットを受け入れていませんでした。
このような誤った移動は、多くの無駄な行動を生み出す原因となります。
災害時の道路はひび割れや障害物、渋滞などにより、平時よりも移動のリスクが格段に高まっています。
本当かどうかわからない情報に振り回されて体力や燃料を消耗してしまうのは、飼い主自身の安全を脅かすため注意が必要です。
また、インターネットで「特定の地域で犯罪が起きている」「動物が被害に遭っている」といった出どころの不明な情報や画像を見続ける行為は、気がつかないうちに心を疲れさせ、冷静な判断力を失う原因ともなります。
被災による物理的なストレスに加えて、偽情報による二次的な精神ダメージを受けることで、正常な思考回路が麻痺していきます。
情報を適切にコントロールして真偽を見極める基準を持ち、冷静な状態を保てば、誤った情報に踊らされた危険な移動や、無駄な行動による精神的消耗を防ぐことができます。
自分自身が安全な場所で落ち着いて状況を把握できて初めて、次の正しい一手を選ぶ余裕が生まれるのです
自己防衛という観点において、情報リテラシーを高めることは身を守るための必須の対策と言えます。
安易な拡散がもたらす混乱
偽情報によって自分自身が被害を受けるリスクについて触れましたが、情報災害の問題はそこで終わりません。
注意すべきは、未確認の情報を安易に拡散し、自らが社会全体を脅かす「加害者」になってしまう危険性です。
拡散の危険性とそれによって生じる悪影響は多岐にわたります。
インターネットを利用する誰もが、無自覚のうちに加害者になり得るという点に注意が必要です。
元の投稿をそのままコピーアンドペーストして自ら「拡散希望」と発信する行為や、知人から回ってきた未確認の注意喚起を別のグループチャットにそのまま転送する行為がこれに該当します。
これらはすべてデマの拡散に加担する加害行動にほかなりません。
発信元ではない人間が拡散に協力した時点で、その偽情報に「多くの人が言っているから本当だろう」という偽りの信頼性を与える片棒を担ぐことになります。
不確実な情報を右から左へ流す行為そのものが、社会の混乱を増幅させる加害行為です。
これにより生じる悪影響は甚大と言わざるを得ません。
拡散された偽情報によって救助機関の電話回線がパンクし、本当に助けが必要な命を見落とす結果につながります。
先述した能登半島地震の事例のように、架空の救助要請が拡散された結果、本来であれば別の場所で、本当に助けを求めている命を救うために使われるべき貴重な人員と時間が奪われてしまいました。
消防や警察は通報があれば現場へ駆けつけ、事実確認を行わなければなりません。
一つのデマを確認するために費やされる数時間が、他の場所で待つ命のタイムリミットを削るのです。
更にSNS上がデマで埋め尽くされると、被災地からの本当のSOSが埋もれて見えなくなってしまいます。
支援団体やボランティアが誤った情報に基づいて動き、無駄に疲弊する事態も引き起こすでしょう。
地域社会において不要な猜疑心や対立が生まれ、避難所の環境や人間関係が悪化する二次被害も発生します。
このような情報災害の加害者にならないため、そして偽情報の拡散を防ぐためには、以下の行動を徹底することが求められます。
公式情報源を事前にリストアップ
災害発生直後にSNSの検索窓にキーワードを入力して情報を探す行動を避ける。
検索結果の上位には、アルゴリズムによって一時的に注目を集めているインプレッション稼ぎの投稿が表示されやすくなります。
検索結果をそのまま事実と受け止めてしまうのは、初心者が陥りやすい失敗です。
お住まいの自治体の公式ホームページ、警察、気象庁、地域の動物愛護センターなど、確かな一次情報を発信する公的機関のアカウントをスマートフォンのブックマークに登録しておいてください。
災害時はまずこの公式リストに加え、正確な情報源となる地域のコミュニティFMラジオや自治体の防災アプリから情報を確認する習慣をつけてください。
正確な情報を得るための「アプリ活用術」についてはこちらの記事にまとめていますので併せてご覧ください。
「必ず」一度立ち止まる
SNS上で悲痛な投稿を目にした時、反射的に共有ボタンを押す行動は控えるべきです。
かわいそうだから早く広めて助けなければという焦りこそが、情報災害に巻き込まれる要因。偽情報は、読み手の怒りや悲しみを意図的に刺激するように設計されているものです。
感情が大きく動いた時ほど、これはインプレッション稼ぎや自己顕示欲によるものかもしれないと自分を疑い、数分間画面から目を離して深呼吸をする時間を作ってみてください。
情報の発信元と投稿履歴を確認
気になる情報があった場合は、必ずその投稿者のプロフィール画面を確認する手順を踏みます。
助けを求める投稿であるにもかかわらず、アカウントが作成されたばかりであったり、過去の投稿が関係のない外国語や無断転載と思われる画像ばかりであったりする場合、偽情報である確率が高いと判断できるでしょう。
本当に現場から助けを求めているのであれば、具体的な住所や目印となる建物名などが記載されているはずです。
漠然とした不安を煽るだけの発信には注意を払う必要があります。
画像や動画の真偽を疑う
過激な災害現場の写真や、動物が被害に遭っている動画を見た際、それをすぐに現在の状況だと信じ込むのは危険です。
過去の別の災害時のものや、AIによって生成された偽画像であるリスクを常に考慮し、スマートフォンやパソコンの画像検索機能を利用し、過去に同じ画像がインターネット上に存在していなかったかを調べる手法も有効です。
少しでも不自然さを感じたら、公式機関が同様の事実を発表しているかを別の手段で確認するまで、その情報を取り入れないようにしてください。
確証が持てない情報は絶対に他人に伝えないというルールを徹底し、情報の発信者としての責任を持つことが強く求められます。
偽情報の連鎖を断ち切り冷静な自己防衛を徹底する
災害時における情報との向き合い方について、自分が騙されることによる自己への実害と、安易な拡散がもたらす危険性や社会への悪影響を分けて解説してきました。
インターネット上の真偽不明な情報は、私たちの不安や善意といった感情の隙間に入り込んできます。
過剰な情報に飲み込まれて、冷静さを失ってしまえば、安全な判断ができなくなり、自分自身を危険な状況へと追い込んでしまいかねません。
情報を適切にコントロールし、冷静な精神状態を保てば、無駄な行動を取ることはなくなります。
自分自身が安全な場所で落ち着いて状況を把握できて初めて、次の正しい一手を選ぶ余裕が生まれるのです。
だからこそ、正しい情報リテラシーを身につけること自体が、物理的な備蓄と同じように確実な「じぶんを守る」ための強力な防災対策になります。
情報発信のボタンを押す前に、あるいはその情報に基づいて行動を起こす前に、冷静に考える時間を持ってください。
「良かれと思って」「困っている動物のためだと思ったから」そんな言い訳は通じません。
不確かな情報を拡散する行為は、結果として誰かの救助を遅らせ、命を危険にさらす加害行為となります。
疑わしい情報は拡散せず、自分の中で意図的に止める勇気を持つこと。情報社会における新しい防災の形を実践することが、結果としてあなた自身の身を守り、同時に本当に救われるべき命の邪魔をしない行動に直結します。
今日からできる準備として、まずはスマートフォンの情報源を整理し、信頼できる公式アカウントのみをリスト化する作業から始めてみましょう。
不確かな情報を発信するアカウントのフォローを外し、必要な情報だけが目に入る環境を構築しておくことが第一歩となります。
災害はいつどこで起きるかわかりません。今日からできる最初のアクションを一緒に起こしていきましょう。











