マイ・タイムラインで同行避難を成功させる
突然の大地震。鳴り響くアラーム、パニックになるペットたち。そんな混乱の中落ち着いて行動することがあなた自身を守り、大切な家族であるペットを守る事に繋がります。
今回はそんな災害時の混乱を防ぐための「マイ・タイムラインを活用した役割分担」について詳しく解説します。
発災時のパニック状態では迷う時間が命取りになります。
あらかじめ「いつ」「誰が」「何をするか」を時系列や様々なパターンで決めた行動計画表であるマイ・タイムラインを作成しておきましょう。
災害が発生してから考えるのではなく、平時の今のうちに、ご家族で警戒レベルに応じた具体的な動きを話し合っておく必要があります。
マイ・タイムラインで災害時の行動を具体化する
災害が発生した際、パニック状態の中で誰が何を持つか、どうやってペットを運ぶかを迷う時間は命取りになります。平時の今のうちに、ご家族で災害時の具体的な動きを話し合い、行動を具体化しておく行動計画表がマイ・タイムラインです。
環境省のガイドラインでも、災害発生時に飼い主がペットを同行し、安全な場所まで避難する同行避難の重要性が指摘されています。
地震や台風などの自然災害は、私たちが準備を整えるのを待ってはくれません。日頃からご家族で防災について話し合う時間を持ち、いざという時の動きを具体的に決めておく備えが、大切な家族とペットの命を守る唯一の方法になります。ペット防災の基本として、まずは自分たちの行動を可視化して整理しておきましょう。
マイ・タイムラインとは
マイ・タイムラインは、災害が発生してから考えるのではなく、事前に警戒レベルに応じた家族の行動を整理しておく計画表です。
特にペットを飼養しているご家庭では、ペットの安全確保や避難用品の持ち出しなど、やるべきタスクが多岐にわたります。
これらを全て1人でこなすのは現実的ではありません。災害の発生状況に合わせて、誰がどのタスクを担当するのかを事前に決めておき、いざという時に反射的に動ける状態を作っておきましょう。表にまとめるだけでなく、目につく場所に掲示して、家族全員がいつでも確認できるようにしておく工夫も効果的です。
同行避難と事前のシミュレーション
同行避難を成功させるためには、事前のシミュレーションが欠かせません。警戒レベル3が出たらどう動くかといった具体的なシナリオに基づいて、ご家族全員で動きを確認しておきましょう。実際に避難経路を歩いてみるなどの避難訓練を繰り返す中で、ペットの様子や持ち出す荷物のバランスをチェックし、計画を修正していく作業が求められます。季節や天候によっても避難の難易度は大きく変わるため、雨の日や夜間にどう動くかも含めてシミュレーションを重ねておきましょう。
ペット専任係と荷物係の完全分割
災害時に慌てず同行避難を成功させるために重要なことは、家族間の役割分担を明確にしておくことです。
荷物はすべてお父さん、お母さんはペットだけを抱えるといったように、役割を完全に分割しましょう。役割を曖昧にせず、それぞれが自分のタスクに集中できる環境を整えておくルールが、家族全員とペットの命を守る確実な方法になります。発災時の混乱の中では、とっさの判断が遅れがちになりますが、あらかじめ担当を決めておけば、迷わずに行動へ移すことができます。
【 役割分担の明確化と三つの鉄則 】
災害時のペットは、見たことがない大雨やサイレンの音でパニックになり、突然暴れたり逃げ出したりしてしまいます。このような予期せぬ行動に対応するためには、ペット専任係は両手を空けてペットだけに集中するという基本原則を守りましょう。
首輪だけでなくハーネスも併用してリードを2本つけるダブルリードの徹底や、頑丈なハードキャリーを活用して安全を確保しましょう。ペットの命を守るためには、これらの鉄則を平時から実践して慣れておく必要があります。
【 ペット専任係の役割 】
ペット専任係は、自分の重い荷物は持たず、貴重品ポーチ等にとどめて両手をフリーにしておきましょう。パニックになったペットを落ち着かせ、速やかにキャリーバッグに入れるか、リードとハーネスを二重に装着します。
移動中は両手でしっかりとキャリーを抱えるか、リードを短く持ち、突然暴れたり飛び出したりする事態に即座に対応しましょう。
猫の場合は脱走を防ぐために洗濯ネットに入れた上でハードキャリーに入れる対策が非常に有効です。ご家庭の体力やペットのなつき度に合わせて、お父さんとお母さんの配役を入れ替えて設定してください。
荷物・安全確認係の役割
荷物・安全確認係は、家族全員分の防災リュックと、フードや水、トイレ用品などのペット用避難用品をすべて運びましょう。自宅の戸締まりやブレーカーの遮断、ガスの元栓を閉めるなどの安全確認も担当します。
移動の際は、避難経路の安全を確認しながら先導し、ドアを開ける、懐中電灯で足元を照らす、雨天時に傘をさしかけるなど、ペット専任係のサポートを全力で行いましょう。
荷物を持つ係が安全確認を担うことで、ペット専任係がペットの安全確保だけに集中できる理想的な避難行動が実現します。

あらゆる事態を想定したバックアップ体制
行動計画を立てる際は、災害の現場で予想外のトラブルが連続して発生する事態を基本としてください。
災害は家族全員が揃っている時に発生するとは限りません。もし主担当が不在の場合にどう動くかといった予備の体制を必ず決めておきましょう。
あらゆる事態を想定したバックアップ体制を構築しておく備えが、いざという時の安心に繋がります。誰か1人に負担が集中しないように、家族全員で助け合える計画を立てておきましょう。
【 単独行動と予備の決定 】
もしお父さんが仕事先から帰宅できない場合、お母さんが1人でペットと最低限の荷物を持ってどう避難するかなど、主担当が動けないときの予備の動き方を必ず決めておきましょう。
単独行動パターンの優先順位もマイ・タイムラインに書き添え、家族全員がどのパターンでも動けるようにシミュレーションを重ねておく必要があります。不在時の連絡手段や、どこで合流するかの待ち合わせ場所についても、あらかじめ複数の候補を挙げておく対応が不可欠です。
【 優先順位の書き出しと情報収集 】
単独行動パターンの優先順位をマイ・タイムラインに書き添えるとともに、平時から地域の防災情報を集めておきましょう。地域の避難所ルールなどの最新情報を集めておく方法は大変有効です。避難所でのペットの受け入れ環境は自治体によって異なるため、事前に確認して計画に反映させましょう。ハザードマップを活用して、危険箇所や安全な避難経路を複数把握しておく準備も欠かせません。
災害時のペット同行避難に関する環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」については以下の記事で解説しています。
行動の具体化がパニックを防ぐ
災害時は誰もが平常心を失うため、例外を作らず誰が何を持つかを明確に決めておく準備が、慌てないスムーズな避難行動に直結します。
マイ・タイムラインを作成し、役割分担を明確にしておく備えは、災害時のパニックを抑え、冷静な判断を下すための強力な武器になります。事前のルール作りと万が一の備えがいかに重要であるかを、ご家族全員で共有しておきましょう。
役割分担が明確になっているご家庭ほど、いざという時にペットの安全を素早く確保し、安全な場所へと避難する行動へ移すことができます。
マイ・タイムラインは一度作って終わりではありません。
ペットの成長や老化、家族の生活スタイルの変化に合わせて定期的に見直し、避難経路を実際に歩いてみるなどの避難訓練を繰り返しましょう。
環境の変化に合わせて計画を更新していく作業が、確実な避難行動へと繋がります。
災害時に大切な家族であるペットを守るためには、家族全員で守る体制を作っておくことが大事です。そのために事前の役割分担をしておくことが、安全な同行避難を成功させるカギになります。まずは小さなことからで構いません。マイ・タイムラインのひな形を用意し、ご家族で話し合う時間を作ってみましょう。
NPO法人ペット防災ネットワークでは災害支援の経験に基づいた実践的なペット防災セミナー・講演会を全国で開催しています。セミナー・講演会、取材などのお問い合わせは以下のリンクよりお気軽にお問い合わせください。
災害はいつどこで起きるかわかりません。今日からできる最初のアクションを一緒に起こしていきましょう。



