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Just in case Preparation

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愛犬・愛猫を守る!ペットの防災グッズ 専門家監修チェックリスト

はじめに:備えは愛情。ペットの命を守るための準備を始めよう

災害時、飼い主であるあなたにしか、その小さな命は守れません。

地震、台風、豪雨。災害の種類を問わず、発生直後は行政や支援団体も被災し、公的な支援がすぐには届かない事態を想定する必要があります。その混乱の中、愛するペットを守るためには、飼い主自身が事前に備えておくことが何よりも重要です。

この記事でご紹介するチェックリストは、単なる理想論ではありません。私たちNPO法人ペット防災ネットワークが、熊本地震をはじめとする数々の災害支援の現場で「これがあって助かった」「これがなくて本当に困った」という現実を基に作成したものです。ペット防災の専門家として、本当に必要な備蓄品を網羅しました。

ぜひ、ご自宅のクローゼットや押し入れを思い浮かべながら、「これはあるか?」「すぐに持ち出せるか?」と一つひとつ確認し、あなたとペットの「命綱」となる備えを万全にしてください。

レベル1:命のライフライン(最優先で1ヶ月分以上確保)

これらはペットの命、健康に直結する最重要アイテムです。災害による物流の停止や、動物病院の機能停止は十分に考えられます。他のものでは絶対に代用できないため、最優先で、かつ多めに備蓄しましょう。

  • 療法食・常備薬
    • 数量の目安: 最低でも1ヶ月分以上
    • ポイント: 心臓病、腎臓病、アレルギーなど、持病がある子にとって、これらは一日も欠かせないものです。災害時には動物病院も被災し、すぐに診察や処方を受けられるとは限りません。必ずかかりつけの獣医師に「災害備蓄用として、少し長めに処方してほしい」と相談し、常に1ヶ月分以上のストックを確保しておきましょう。
  • 薬の処方箋や説明書のコピー、お薬手帳
    • ポイント: 薬そのものが手元からなくなってしまっても、正確な薬品名や投与量がわかる情報があれば、支援物資の中から同じものを探してもらえたり、別の場所で入手できたりする可能性が生まれます。薬の現物だけでなく、「情報」も一緒に備えるという視点が重要です。

レベル2:基本の備え(最低7日分以上をローリングストックで)

生命維持に不可欠な食料と水、そして排泄用品。これらは普段の生活で消費するものを少し多めに買い置きし、古いものから使い、使った分だけ新しく買い足していく「ローリングストック法」での備蓄が最も効率的で、フードの鮮度も保てます。

「ローリングストック法」

  • フード・おやつ
    • 数量の目安: 最低7日分以上(できれば2週間分)
    • ポイント: 災害時のストレスで食欲が落ちるペットは少なくありません。そんな時、食べ慣れたフードやおやつは心の支えにもなります。ドライ、ウェット、アレルギー対応食など、普段の食事に合わせて準備しましょう。特にアレルギー対応食は入手が困難になるため、より入念な備蓄が必要です。
  • 飲料水
    • 数量の目安: 最低7日分以上
    • ポイント: 人間と同様、ペットにとっても清潔な水の確保は死活問題です。断水すれば水道水は飲めず、避難所で配布される水がペットにも与えられるとは限りません。普段から水道水を飲んでいる子なら汲み置き、特定のミネラルウォーターを飲んでいるならそのストックを用意するのが理想です。
  • 食器類
    • ポイント: 普段使っている食器が一番ですが、陶器製などは避難時の持ち運びで割れる危険があります。備蓄用としては、割れにくいステンレス製や、軽くてかさばらないシリコン製の折り畳み式食器があると、安全な移動に非常に役立ちます。

レベル3:避難生活の質向上(心と体のケア)

慣れない避難所での生活は、ペットにとって想像を絶するストレスがかかります。そのストレスを少しでも和らげ、心と体の健康を保つためのアイテムも重要な備蓄品です。

  • キャリーバッグ、ケージ
    • ポイント: これは避難時の「移動手段」であると同時に、騒がしい避難所におけるペットの唯一の「パーソナルスペース」となります。普段から「入ると安心できる場所」として慣れさせておく(クレートトレーニング)ことが、避難生活の質を大きく左右します。布製だけでなく、丈夫なプラスチック製のものも準備しておくと、車中泊や屋外での避難にも対応できます。
  • 首輪・ハーネス・リード
    • ポイント: パニックによる逃走を防ぐ、まさに「命綱」です。破損や紛失に備えて、必ず予備も準備しましょう。そして、必ず連絡先を明記した迷子札を装着してください。マイクロチップを装着していても、リーダーがなければその場で情報を読み取ることはできません。
  • トイレ用品とケア用品
    • 具体例: ペットシーツ、猫砂、うんち袋、消臭剤、ウェットティッシュ、タオル、ブラシ、ドライシャンプーなど
    • ポイント: 避難所でのペットに関するトラブルで最も多いのが、衛生問題です。排泄物の処理をきちんと行い、体を清潔に保つことは、他の避難者への配慮であり、感染症を防ぐ意味でも非常に重要です。断水時を想定し、水を使わないケア用品も揃えておきましょう。
  • 心のケア用品
    • 具体例: お気に入りのおもちゃ、飼い主の匂いがついたタオルやTシャツなど
    • ポイント: 不安な状況下で、いつも遊んでいるおもちゃや、大好きな飼い主さんの匂いは、ペットにとって最高の心の安定剤になります。避難袋に一つ忍ばせておくだけで、ペットのストレスを大きく軽減できます。

レベル4:情報と便利グッズ

これらが揃っていれば、さらに安心して避難生活を送ることができます。

  • ペットの情報がわかるもの
    • 具体例: ワクチン接種証明書、健康記録(持病やアレルギーなど)、飼い主と一緒に写っているペットの写真(複数枚)のコピーやスマートフォン内のデータ
    • ポイント: これらは、避難所での受付、ボランティアによる預かり、動物病院の受診、そして万が一はぐれてしまった際の捜索ポスター作成など、あらゆる場面で必要となる重要な「情報」です。マイクロチップの登録情報(番号と連絡先)の控えも忘れずに保管しておきましょう。
  • 季節に応じた暑さ・寒さ対策グッズ
    • 具体例: 冷却マット、携帯扇風機、電池、ペットボトルに巻く保冷剤(夏)、毛布、ペット用カイロ、フリース素材の服(冬)など
    • ポイント: 災害は季節を選びません。体育館などの広い避難所では空調が効きにくく、夏は熱中症、冬は低体温症のリスクが高まります。日本の四季に合わせた準備が不可欠です。
  • その他あると便利なグッズ
    • 具体例: ガムテープ、軍手、新聞紙、大きめのビニール袋、洗濯ネット(猫の場合)など
    • ポイント: ガムテープは壊れたケージの補修や危険物の固定に、軍手はがれきの撤去やペットの保定に役立ちます。ビニール袋はゴミ処理だけでなく、防水対策にも使え、非常に重宝します。

まとめ:今日から始めるで万全の備え

このリストを見て、「こんなにたくさん準備できない」と感じたかもしれません。しかし、その必要はありません。まずはご自宅の備えを確認し、足りないものをリストアップすることから始めましょう。

そして、フードや水、トイレ用品などの消費するものは、少し多めにストックしておき、古いものから使って、使った分だけを買い足す「ローリングストック」をぜひ今日から実践してください。この方法なら、無理なく、常に新しい備蓄品を維持することができます。

備えは、あなたと愛するペットへの最大の愛情表現です。この記事が、その第一歩となることを心から願っています。

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備蓄品を揃えることは、ペット防災の重要な第一歩です。しかし、それらを災害時にどう活用するか、パニックになったペットにどう対応するかといった「知識」がなければ、せっかくの備えも十分に活かせません。

私たちNPO法人ペット防災ネットワークでは、被災地での経験に基づいた、より実践的な知識を学べるセミナーを定期的に開催しています。備えを万全にするために、ぜひご参加ください。

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