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ペット防災の絶対条件|災害から愛する家族を守る「飼い主の安全対策」完全ガイド

はじめに:すべての防災は「あなたが無事でいること」から始まる

大地震、豪雨、台風…いつどこで起こるか分からない災害。その時、あなたの命、そして大切な人たちの未来を守るために、最も重要で、そして絶対的な条件は何だとお考えですか?

それは「まず、あなた自身が心身ともに無事でいること」です。

もし、あなた自身が怪我をして動けなくなってしまったり、倒壊した家屋に閉じ込められたり、危険な状態に陥ってしまえば、誰かを助けることも、安全な場所へ避難することもできません。災害後の困難な状況を乗り越え、生活を再建していくことも、心身の安全があって初めて可能になります。

防災対策というと、非常食や防災グッズの準備を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、それらの物資を備えること以上に、あなた自身の身の安全を確保するための「環境」を整えることこそが、何よりも優先されるべき防災の原点なのです。

この記事では、「もしも」の災害を「じぶんごと」として捉え、あなた自身の命を守るための具体的なステップを、一つひとつ丁寧に解説していきます。今日から始められる確実な備えが、未来を守る最も大きな力になります。

ステップ1:全ての備えの基礎。地域の災害リスクを正確に知る

防災の第一歩は、敵を知ることから始まります。あなたがお住まいの地域に、どのような災害リスクが潜んでいるのかを具体的に把握することが、全ての備えの土台となります。そのために不可欠なツールが「ハザードマップ」です。

ハザードマップで何がわかるのか?
ハザードマップは、自然災害による被害の範囲や程度を予測し、地図上に示したものです。自治体のウェブサイトや窓口で入手でき、主に以下のような情報を確認できます。

洪水・内水氾濫: 河川が氾濫した場合や、大雨で排水が追いつかなくなった場合に、どの範囲がどのくらいの深さまで浸水する可能性があるかを示します。
土砂災害: がけ崩れ、地すべり、土石流の危険性がある「土砂災害警戒区域」や「土砂災害特別警戒区域」がわかります。
地震: 想定される地震が発生した際の「揺れの強さ(震度分布)」や、「建物の倒壊危険度」「液状化の可能性」などが示されています。
津波: 大きな地震が発生した際に、津波が到達する範囲と浸水の深さ、到達予測時間などがわかります。
 

ハザードマップから具体的な行動計画を立てる

ハザードマップを確認したら、それで終わりではありません。地図に示されたリスクを「じぶんごと」として捉え、具体的な行動計画に落とし込むことが重要です。

避難場所・避難所の確認: 自宅が危険区域にある場合、どこへ避難すべきか。指定されている避難場所や避難所までの複数のルートを実際に歩いて確認しましょう。
避難経路の危険箇所チェック: 避難経路に、ブロック塀やガラス張りの建物、狭い路地、冠水しやすいアンダーパスなど、危険な箇所はないかを確認します。昼と夜、晴れの日と雨の日では道の状況が大きく変わることも想定しておきましょう。

ステップ2:あなたの命を守る!自宅の安全対策徹底チェックリスト

災害発生時、すぐに避難が必要な場合を除き、最も多くの時間を過ごすことになるのが「自宅」です。自宅の安全性を最大限に高めることが、命を守る上で極めて重要になります。

① 命を脅かす凶器にしない「家具の固定と配置」
過去の大地震では、亡くなった方の多くが家屋の倒壊や家具の転倒によるものでした。家具は、地震の揺れによって凶器に変わり、命を奪うだけでなく、避難経路を塞ぎ、閉じ込めの原因にもなります。
固定器具の活用: L字金具や突っ張り棒、転倒防止ベルトなどを活用し、壁の裏にある柱や間柱にしっかりと固定します。特に、寝室や居間など、長時間過ごす場所にある背の高い家具(タンス、食器棚、本棚)や、重量のある冷蔵庫などは優先的に対策しましょう。
安全なレイアウトの工夫: 玄関や廊下、部屋の出入り口付近には、避難の妨げになるものを置かないことを徹底します。また、就寝場所に背の高い家具が倒れてこないような配置にすることも重要です。

② 見えない危険から身を守る「ガラスの飛散防止」
地震の揺れで割れた窓ガラスや食器棚の破片は、非常に危険です。特に夜間の停電時に避難する際、足元が見えない中で散乱したガラスを踏んでしまえば、大怪我に繋がりかねません。
飛散防止フィルムの活用: 窓ガラス、食器棚、ガラス扉、鏡などに飛散防止フィルムを貼りましょう。万が一割れても、破片が飛び散るのを最小限に抑えられます。
収納の工夫: ガラス製品や陶器など、割れやすいものは棚の高い場所には置かないようにします。食器棚の扉には、揺れを感知してロックがかかる「耐震ラッチ」を取り付けるとさらに安全性が高まります。

③ 二次災害を防ぐ「火災対策と初期消火の準備」
地震の後に発生する「地震火災」は、命や財産を奪う大きな脅威です。特に住宅が密集している地域では、一軒の火災が瞬く間に燃え広がる危険性があります。
火災発生源への対策: 地震火災の主な原因である「通電火災」を防ぐために、設定値以上の揺れを感知すると自動的に電気を遮断する「感震ブレーカー」の設置が非常に有効です。
初期消火の備え: 誰でも簡単に操作できる住宅用消火器を、キッチンなど火を扱う場所の近くに設置しましょう。いざという時に使えるよう、家族全員で設置場所と使い方を確認しておくことが重要です。

④ 在宅避難を支える「ライフライン停止への備え」
電気・ガス・水道・通信といったライフラインが停止しても、支援物資が届くまでの数日間を自力で乗り切るための備えが不可欠です。
水と食料は最低7日分: 飲料水と食料は、最低でも7日分(できればそれ以上)を備蓄しましょう。普段から食べているものを少し多めに買い置きし、消費した分を買い足していく「ローリングストック法」なら、無理なく備蓄を継続できます。
トイレ・衛生用品: 災害時に最も困ることの一つがトイレです。簡易トイレや携帯トイレは必ず準備しましょう。あわせて、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、除菌シートなども十分に備蓄しておきます。
情報収集と電源確保: スマートフォンの電気がなくても情報収集ができるよう、電池式の携帯ラジオは必須です。モバイルバッテリーや乾電池も、様々なサイズを多めに用意しておきましょう。

⑤ 究極の安全対策「建物の耐震性」
これまでの対策は非常に重要ですが、建物そのものが倒壊してしまっては意味がありません。究極の安全対策は、自宅の耐震性を確保することです。
耐震基準の確認: 1981年(昭和56年)6月1日以前の「旧耐震基準」で建てられた建物は、震度6強~7の揺れで倒壊する可能性があります。
耐震診断と補強: 自治体によっては、無料の耐震診断や耐震補強工事への補助金制度があります。専門家による診断を受け、必要であれば補強を検討することも、あなたの命を守るための重要な投資です。

まとめ:「じぶんごと」の備えが、あなたと大切な人の未来を守る力になる

災害は、決して他人事ではありません。テレビの向こうの出来事ではなく、明日あなたの身に起こるかもしれない現実です。

防災の基本は、「自分自身の安全を確保すること」。この大原則を抜きにして、本当の意味での防災は成り立ちません。今回ご紹介した自宅の安全対策は、地味で時間のかかるものかもしれません。しかし、この一つひとつの確実な備えこそが、いざという時にあなたの命を守り、ひいては、あなたが守りたい大切な人の未来をも守るための、最も確かな力となるのです。

まずは、ハザードマップを開くこと、家具を一つ固定することから始めてみませんか。その小さな一歩が、あなたの未来を守る、大きな一歩に繋がります。

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