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犬のトリミング。防災の視点から考える愛犬の衛生管理

災害への備えと聞くと、避難袋の準備やクレートトレーニングを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、NPO法人ペット防災ネットワークが提唱する「管理する」という防災の中には、「トリミング(被毛の管理)」が非常に重要な項目として含まれています。

「トリミングは見た目を綺麗にするためのもの」という認識をアップデートしましょう。実は、愛犬の見た目を清潔に保つことは、災害時における「犬の健康」と「周囲との共生」を守るための強力な武器になります。

1. なぜ「見た目を整えること」がペット防災になるのか

災害時、避難所や車中泊などの慣れない環境では、人間も動物も多大なストレスを抱えます。その中で、犬の被毛が適切に管理されていることは、以下の3つの大きなメリットをもたらします。

① 衛生状態の悪化と皮膚トラブルを防ぐ

災害時は水が貴重です。犬の体が汚れても、満足にシャンプーをしたり、ブラッシングをしたりする余裕はありません。

毛玉の防止: 被毛が伸び放題で毛玉ができていると、その隙間に汚れや湿気が溜まり、細菌が繁殖しやすくなります。
皮膚疾患の予防: 避難所のような衛生環境が整いにくい場所では、一度皮膚炎を起こすと悪化しやすく、治療も困難です。 短めにカットしておく、あるいは定期的に整えておくことで、汚れを落としやすくし、皮膚の健康を維持しやすくなります。

② 避難所での「受容性」を高める

避難所には、犬が好きな人ばかりではありません。犬アレルギーを持つ方、犬が苦手な方、そして極限状態のストレスで過敏になっている方が大勢います。

清潔感と安心感: 綺麗にトリミングされ、嫌な臭いがしない犬は、周囲の人に「飼い主が適切に管理している」という安心感を与えます。
トラブルの回避: 抜け毛の飛散や独特の獣臭は、避難所でのクレームの大きな原因となります。日常的なケアでこれらを最小限に抑えることは、同行避難をスムーズに継続させるためのマナーであり、戦略でもあります。

③ 怪我や異常の早期発見

被毛が伸びすぎていると、足の裏のカット(肉球周り)がおろそかになり、滑って転倒したり、瓦礫で怪我をしたりするリスクが高まります。また、毛に覆われていると、小さな傷や腫れ、ノミ・ダニの付着に気づくのが遅れます。見た目をスッキリさせておくことは、飼い主が愛犬の異変に即座に気づくための「視認性」を高める行為なのです。

2. 信頼できる「トリマー」の存在が防災力を底上げする

ペット防災において、飼い主さん一人でできることには限界があります。ここで鍵となるのが、信頼できるプロのトリマーの存在です。

健康のセカンドオピニオンとして
トリマーは、数時間かけて犬の全身を触り、観察します。飼い主でも気づかないような皮膚のしこり、耳の汚れ、体型の変化に気づいてくれることも少なくありません。定期的に通うことで「いつもの状態」を把握してくれている専門家がいることは、災害前の健康管理において非常に心強い味方となります。

社会性を育む場として
トリミングサロンは、飼い主以外の人に体を触られ、長時間じっとしている必要がある場所です。これは、避難所生活や、万が一の際の預け先などで求められる「社会性」の訓練にもなります。信頼できるトリマーとの関係性は、犬のメンタル面でのレジリエンス(回復力)を高めることにつながります。

防災のアドバイザーとして
最近では「ペット防災」の知識を持つトリマーも増えています。「災害時に手入れがしやすいカット」を相談したり、万が一の避難時に役立つケア用品(ドライシャンプーやウェットティッシュの使い方など)のアドバイスをもらったりすることも可能です。

3. 今日からできる「管理する」防災アクション

日常のルーティンに、以下の視点を取り入れてみてください。

定期的な予約を欠かさない: 災害はいつ起こるかわかりません。常に「いつ避難しても恥ずかしくない・困らない」状態を保つことが理想です。
肉球周りと肛門周りのケア: ここを清潔に保つだけで、汚れの付着や滑りによる怪我を大幅に軽減できます。
トリマーに「防災」の相談をしてみる: 「避難所生活を想定して、少し短めにしたい」「手入れが楽なスタイルは?」と相談してみることで、担当トリマーとの防災意識の共有が図れます。

結び:愛犬を守ることは、管理することから始まる

「ペット防災」は、特別な道具を揃えることだけではありません。日々のブラッシング、定期的なトリミング、そして愛犬の健康を一緒に見守ってくれるプロとの繋がり。これらの積み重ねが、非常時にあなたと愛犬を助ける大きな力になります。

見た目を綺麗に保つことは、愛犬への愛情表現であると同時に、命を守るための「管理」そのものなのです。

ペット防災についてもっと詳しく知りたい方へ
NPO法人ペット防災ネットワークでは、自治体や飼い主様向けにペット防災セミナーを開催しています。避難所での具体的な衛生管理方法や、地域で進めるペット支援のノウハウなど、実践的な知識をお伝えしています。

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