1. HOME
  2. ペット防災ガイド
  3. 自分を守る
  4. 同行避難・ガイドライン
  5. 環境省ガイドラインで学ぶペット防災の基本
自分を守る

あなたの無事が、一番の備え

同行避難・ガイドライン

環境省ガイドラインで学ぶペット防災の基本

全国で頻繁に起きる地震、夏場のゲリラ豪雨や台風による被害、最近は大規模な山火事など、災害が頻発する今の日本。
「もしも今、大きな災害が起きたら…うちの子はどうなってしまうのだろう」そう不安に感じていませんか?

災害は時と場所を選ばず、私たちの平穏な日常を突然奪います。
ペットの命と安全を確保するためには、飼い主であるあなた自身がペット防災の基本ルールを事前に理解し、行動しておく必要があります。
その基準となるのが、環境省が定めた「人とペットの災害対策ガイドライン」です。

これは災害時にペットと共に困難を乗り越えるために国が示す公式なマニュアルと言えます。
ただ、内容が難しそうで何をすればいいか戸惑ってしまう方も少なくありません。
このページでは、全ての飼い主さんに知っていただきたいガイドラインの要点と、災害時に命を守るための具体的な第一歩についてわかりやすく解説していきます。

環境省が示す「ペット防災」の基本方針と過去の教訓

国が示す人とペットの災害対策ガイドラインは、決して机上で作られた理想論ではありません。東日本大震災や熊本地震をはじめとする過去の災害において、徹底した実地検証が行われた結果生まれたものです。
当時、環境省の職員や動物愛護の専門家が被災地に長期間入り、同行避難を行った飼い主や避難所の運営者などに直接聞き取り調査を実施しました。NPO法人ペット防災ネットワークも、環境省との協働プロジェクト等を通じて現場の実情を調査してきました。

過去の大規模災害では、緊急避難を余儀なくされた結果、自宅に取り残されたり飼い主とはぐれたりしたペットが多数放浪する事態が生じました。
現場では、ペットを連れた避難者が車中泊を余儀なくされたり、動物が苦手な避難者との間で摩擦が起きたりと、数々の混乱が発生しました。

こうした混乱を防ぎ、飼い主が自らの安全を確保した上で、ペットと共に安全な場所へ避難行動をとることは、動物愛護の観点のみならず、放浪動物による危害防止や生活環境保全の観点からも重要な対策となります。
現場の事実から導き出されたこのガイドラインを知っておくことは、いざという時にあなたとペットの安全を左右する対策となります。

誤解されやすい「同行避難」本当の意味と避難所の現実

ペット防災において重要なキーワードでありながら、非常に多くの飼い主さんが誤解している言葉があります。それが「同行避難」です。同行避難とは、災害発生時に飼い主がペットと一緒に安全な場所へ避難行動を取ることを指します。

ここで注意すべきポイントは、同行避難と、避難所で人間とペットが同じ部屋で過ごせる状態は全く異なるという事実です。
避難所まで一緒に逃げる行動そのものを同行避難と呼びます。避難所の室内でペットと同居できる状態は「同伴避難」あるいは「室内同伴」として明確に区別して考える必要があります。

当法人が長期支援に入った熊本地震の際にも、この言葉の意味を取り違えたことによるトラブルが実際に発生しました。
SNS上で「同行避難できる避難所一覧」という情報が拡散されたのです。
同行避難は原則としてどの避難所へ向かう際にも行うべき行動ですが、情報の発信者も受け取り手も「室内でペットと一緒に過ごせる避難所」という意味でその言葉を使っていました。
誤った情報を見た人々からの問い合わせが特定の避難所に殺到し、多忙を極める現場の運営者を深く悩ませる結果を招いたのです。
最終的に自治体側が、ペットの受け入れは原則屋外であるという見解を改めて発表する事態にまで発展しました。

私たちが全国の自治体や市民向けに10年間開催している「ペット防災セミナー」や「ペット防災講演会」でも、この同行避難と同伴避難の違いは必ず最初にお伝えしています。
同行避難の正しい意味を理解し、避難所にたどり着いた後も厳しい現実が待ち受けている可能性をあらかじめ知っておくこと。この認識の差が、非常時のパニックを防ぎ、冷静な判断を下すための基盤となります。

ペット同行避難の成功のカギは「早めの避難行動」です。その理由については以下の記事で詳しく解説しています。

避難所の現実に直面する前に飼い主がすべき情報収集

災害時のペット同行避難のルールを知らなくては、混乱する災害時に大切なペットを守るための正しい行動がとれるはずがありません。
だからまずはルールを知る事が第一歩となります。今はスマートフォンで何でも調べられる時代ですから、飼い主さんにはぜひご自身の手で調べてみていただきたいのです。

避難所におけるペットの受け入れルールは、全国一律ではありません。
自治体ごと、さらには同じ市区町村内でも避難所となる施設(学校、体育館、公民館など)の構造や管理者の判断によって全く異なります。
調べるべき具体的な項目は以下の通りです。

1.自宅に最も近い指定避難所はどこか?その避難所はペットを連れての避難を想定しているか?
2.受け入れスペースは屋内の別室か?屋外の屋根付きスペースか?大型犬など動物種による制限はないか?
3.避難所が危険な地域にある場合の二次避難先はどこか?そもそも避難所でペットは受け入れてくれるのか?

これらの情報は、お住まいの自治体のホームページで地域防災計画や避難所運営マニュアルを確認するか、担当の防災課や保健所に直接問い合わせることでも把握できます。

もし、最寄りの避難所がペットの受け入れ不可や完全屋外のみというルールであれば、どうするべきでしょうか?
悪天候の際や真冬・真夏に屋外でペットを過ごさせるのは、命に関わる危険を伴います。
状況によっては、避難所へ行くことを諦め、ペットの受け入れが可能な親戚や友人の家へ身を寄せる選択肢を探す必要が出てきます。

自宅の耐震性が高く倒壊の危険がないと判断できる場合は、安全を確保した上で自宅に留まる在宅避難をあらかじめ計画に組み込むことも重要です。
車中泊を想定して日頃から安全な駐車スペースを見つけておくなどの対策も考えられます。

自分の地域の現実を知ることで初めて、いざという時の避難先をどうするか、誰に協力を求めるかという具体的なシミュレーションが可能になります。
情報を集める行動そのものが、あなたとペットの命を守る有効な対策となるのです。

知っておきたい避難所でのNG行動とトラブル回避策

災害時、初心者の飼い主さんが陥りやすい失敗やNG行動についてわかりやすく解説します。

避難所において避けていただきたいのが、ルールを無視して自分の感情だけで行動することです。
「うちの子は家族だから」という思いは飼い主であれば誰もが抱く大切な感情です。
でもそれを理由に、ペット不可の居住スペースへ無理に動物を連れ込んだり、指定された飼育場所のルールを破ったりすることは出来ません。

避難所には様々な事情を抱えた人々が集まっています。
家を失い、明日への不安に押しつぶされそうな大きなストレスがかかる環境下において、動物の存在は時に癒やしとなる反面、些細な鳴き声や臭いが大きな摩擦を生む原因にもなります。

ルールを守らない一部の飼い主の行動は、「だからペット連れは困る」という全体への反発を招きます。
結果的に適正に飼育している他の飼い主やペット全体の居場所まで奪ってしまうことになりかねません。

当然ペットの排泄物の処理や抜け毛の清掃などは、すべて飼い主自身の責任で行う必要があります。
避難所では飼い主同士で「飼い主の会」を作り、声を掛け合い、当番制で清掃を行うなどの協力体制を築く姿勢が求められます。

日頃からのご近所付き合いや、散歩仲間とのコミュニケーションを深めておくことも立派な防災対策の一つです。
地域社会との良好な関係性が、いざという時の相互理解や助け合いを生み出す原動力となります。

今すぐ始めよう!地域を知ることから始まるペット防災

ここまで、環境省のガイドラインに基づく同行避難の本当の意味と、避難所における現実についてお伝えしてきました。
過去の被災地で起きた事実を知り、適切な心構えを持つことが、あなたとペットの安全を確保するための第一歩です。
知識を頭の片隅に置いているだけでは、いざという時にペットを守る行動へ移すことはできません。

今日この記事を読んだあなたが次に行うべき最初のアクションは、ご自身の住む地域の避難所ルールを確認することです。
スマートフォンやパソコンで、お住まいの自治体名と「ペット 避難所」というキーワードで検索してみてください。
わからないことがあれば、防災担当の窓口へ電話で問い合わせるのも大事なアクションです。

自分の地域の受け入れ体制がどうなっているのかを知ることで、あなたが準備すべき次のステップが見えてきます。

災害を「じぶんごと」とし、現状を正しく把握し、日常の中で少しずつ情報を集めていく行動の積み重ねがいざという時の大きな力となります。
あなた自身が正しい知識を持ち、地域社会の中で責任ある行動をとることが、大切な家族の命をつなぐのです。

当法人のこれまでの活動や、地域での取り組み事例については、以下のページもぜひご参照ください。
活動実績ページへ
ペット防災セミナーのご案内ページへ

【出典・参考資料】環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」

▶ペット防災ガイドTOPへ戻る

この記事の内容