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災害時に慌てない!愛犬・愛猫のための救急セットと健康管理

災害時、動物病院にすぐ行けない状況に備える

災害は突然やってきます。その時、私たち人間と同じように、ペットも予期せぬ怪我をしたり、環境の激変によるストレスで体調を崩したりすることがあります。

しかし、災害の規模によっては、道路が寸断されたり、動物病院自体が被災したりして、すぐに獣医師の診察を受けられない事態も十分に考えられます。

大切な家族であるペットの命を守るためには、フードや水の備蓄といった「モノの備え」だけでなく、もしもの時のための「知識の備え」として、家庭でできる応急手当の方法を知っておくことが、日頃からの重要なペット防災対策となります。

この記事では、「ふだんから」準備しておきたい救急セットの中身と、いざという時に慌てないための健康管理のポイントを具体的に解説します。

我が家の常備品に!「ペットの救急セット」準備リスト

人間の救急箱とは別に、ペット専用の救急セットを準備し、避難袋などすぐに持ち出せる場所に保管しておきましょう。

【基本アイテム】

消毒薬: 傷口の洗浄・消毒に使用します。(人間用のアルコール消毒液は刺激が強いため、動物病院で処方されるものやペット用のものが望ましいです)
ガーゼ、包帯、綿棒: 傷口の保護や手当てに。包帯はテープなしで固定できる自着性のものが扱いやすく便利です。
医療用テープ、ハサミ: ガーゼや包帯の固定に使います。
ピンセット(トゲ抜き): 散乱したガラスの破片などが刺さった際に使用できます。
エリザベスカラー: ペットが傷口を舐めて悪化させるのを防ぎます。空気で膨らませるタイプはコンパクトに収納でき、避難時の持ち出しに便利です。
常備薬・療法食: 持病やアレルギーがある子は、最低でも1週間分以上の薬や療法食を準備しておきましょう。

【あると安心なアイテム】

ペット用体温計 使い捨て手袋 洗浄用の水(ペットボトルなど) ペットのストレスを和らげるサプリメント

「うちの子カルテ」が命を救う。情報管理の重要性

災害時には、かかりつけではない動物病院で診察を受ける可能性もあります。その際に、ペットの情報が正確に伝わることが、迅速で的確な治療に繋がります。

以下の情報をまとめた「うちの子カルテ」を準備し、救急セットに必ず入れておきましょう。スマートフォンの写真やメモだけでなく、紙に印刷して防水ケースに入れておくと、電源がない状況でも安心です。

飼い主の連絡先 ペットの写真(全身と顔)、名前、種類、年齢、性別、体重
既往歴、アレルギーの有無、過去の手術歴 現在服用中の薬の名前、用法、用量(薬の現物や処方箋の写真も有効)
かかりつけ動物病院の連絡先 ワクチン接種やノミ・ダニ予防の記録

【最重要】応急手当は、信頼できる獣医師に繋ぐための時間稼ぎ

この記事でご紹介した救急セットや手当の方法は「あくまで災害時に動物病院へすぐ行けない」という最悪の事態を想定した「緊急避難的な対応(ファーストエイド)」です。飼い主さんによる応急手当は、治療行為そのものではなく、専門家である獣医師に命を繋ぐための、貴重な時間稼ぎであるとご理解ください。

■ なぜ、素人判断が危険なのか

ペットは、私たちに言葉で痛みを訴えることができません。軽傷に見えても、内臓を損傷していたり、傷口から入った細菌が体内で深刻な炎症を引き起こしたりする可能性があります。また、動物は本能的に弱みを見せまいと、ぎりぎりまで痛みを隠すことがあります。「元気そうに見えるから大丈夫」という飼い主さんの判断が、取り返しのつかない事態を招く危険性も少なくありません。

■「かかりつけ医」と「定期健診」が、いざという時の命綱になる

こうした事態を防ぎ、平時と非常時の両方でペットの命を守るために欠かせないのが、「かかりつけ医」の存在と「定期的な健康診断」です。

日頃から信頼できる獣医師に診てもらうことで、ペットの平時の健康状態(平熱、体重、持病など)を正確に把握してもらえます。その平常時のデータがあるからこそ、災害時という異常な状況下でペットに起きた異変を、獣医師が迅速かつ的確に診断できるのです。

災害時に初めての動物病院に駆け込んでも、これまでのデータがなければ、診断や治療に時間がかかってしまうかもしれません。普段から何でも相談できる「かかりつけ医」を持つことは、最高のペット防災の一つと言えます。

ペットの命と健康を守るために最も大切なのは、専門家である獣医師の客観的で正確な診断です。そのことを常に念頭に置き、日頃からの備えと健康管理を進めていきましょう。

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