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災害時にペットの命を繋ぐ「水」の備蓄ガイド

災害のニュースを見るたびに、「もし今、水が止まったらうちの子はどうなるのだろう」と不安に感じていませんか?

ペットとの暮らしにおいて、水は生存を左右する最も決定的な資源です。

人間であれば配給の水を飲むことができますが、動物たちは言葉で喉の渇きを訴えることができません。 ペット防災の基本は、飼い主自身が正しい知識を持ち、いざという時に備えておくことです。

今回は、愛犬や愛猫の命を繋ぐための「水」の備蓄について、具体的な量や選び方の基準をお伝えします。

「水」の備蓄の重要性

過去の災害において、インフラの停止は私たちの想像を超える期間に及ぶことがありました。

実際に熊本地震の現場では、ある動物病院で給水が12日間も停止したという記録が残されています。

公的な支援物資が届くには時間がかかりますし、ペット用の救援物資としてペットボトルの水が大量に被災地に送られた結果、現地の保管場所を極度に圧迫し、かえって現場の作業負担を増やしてしまったという実態もありました。

災害時のペット同行避難は基本ですが、避難所へ行けば水がもらえると期待するのは危険です。

愛犬や愛猫の命を公助に委ねるのではなく、飼い主自身の「自助」として、最低7日分、可能であれば10日分の水を確保しておくことが必須となります。

必要な水の量を算出し分散備蓄を実行する

備蓄計画を立てる第一歩は、ペットが1日に消費する水の量を正確に把握することです。 必要な量は動物種や体重によって大きく異なります。

トイプードル(3kg)の場合 1日約0.18リットル 7日間で約1.26リットル(1.26kg)

柴犬(10kg)の場合 1日約0.6リットル 7日間で約4.2リットル(4.2kg)

ゴールデンレトリバー(30kg)の場合 1日約1.8リットル 7日間で約12.6リットル(12.6kg)

一般的な猫(4kg)の場合 1日約0.2リットル 7日間で約1.4リットル(1.4kg)

ウサギ(2kg)の場合 1日最大0.3リットル 7日間で約2.1リットル(2.1kg)

ここで直面するのが、持ち運びの重さという問題です。

例えば柴犬1頭と避難する場合、7日分の水だけで4.2kgになります。
これにペット自身の体重、フード、飼い主用の備蓄などを合わせると、人が一度に持ち運べる限界を超えてしまいます。

この問題を解決するためには、最初の1〜2日分(500mlボトル2〜3本)だけを避難リュックに入れ、残りは自宅でローリングストック(日常備蓄)として保管する「分散備蓄」を行ってください。

動物の習性から紐解く、災害時の水分消費リスク

 なぜこれほどまでに水の確保が重要になるのでしょうか。それは、動物特有の習性や代謝システムが関係しています。

犬は、空調の止まった室内や避難所などのストレス環境下で体温を調節するため、「パンティング(あえぎ呼吸)」を激しく行います。
この行動により呼吸器から大量の水分が失われるため、夏季や興奮時には通常の2倍以上の水が必要になることも想定しなければなりません。

一方で猫は、砂漠出身の祖先を持つため「喉の渇きを感じにくい」という特性があります。

ストレス環境下で自ら水を飲まなくなると、尿の濃縮が進みやすくなります。 また、体が小さいウサギは体重比で犬の2倍以上もの水分を必要とし、水分不足は胃腸の動きが止まる「うっ滞」に直結します。

それぞれの動物が持つ体の仕組みを理解し、環境変化による水分の喪失や摂取不足に先回りして対応することが求められます。

人間用の硬水はNG!水質選びの注意点

「人間用のミネラルウォーターなら安心だろう」という考えは、絶対に避けてください。

陥りやすいNG行動についてわかりやすく解説します。 水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量を示す「硬度」が、ペットの健康に深刻な影響を与えるからです。

WHOの基準で硬度120mg/L以上を硬水と呼びますが、犬や猫、特にウサギには硬度60mg/L以下の「軟水」を選ぶことが鉄則です。
マグネシウムやカルシウムが多い硬水を摂取し続けると、尿路結石の原因となります。

災害時のストレスで尿が濃縮している状態での硬水摂取は、わずか数日で尿毒症などの致命的な状態を引き起こすリスクがあります。
特にウサギは食事中のカルシウムをほぼ全て吸収して尿から排泄するため、硬水は膀胱スラッジ(泥状の沈殿物)や結石の直接的な原因となります。

備蓄用の水には、日本の水道水(軟水)や国産の軟水ミネラルウォーター、あるいは不純物を除去したRO水(純水)を必ず用意してください。

 すぐに始める「水」の備蓄と給水アクション

災害時に愛犬や愛猫の命を繋ぐための水の備蓄について、具体的な知識と手法をお伝えしてきました。

水はただ用意すればよいというものではありません。 備蓄専用の「長期保存水」はボトルの素材が厚く、臭い移りを防ぐ効果がありますが、嗅覚の鋭いペットは普段と違う水や微かな臭いの変化を感じ取って飲水を拒否することがあります。

そのため、普段から飲み慣れている軟水のミネラルウォーターをローリングストックし、日常的に与えておくことが確実な対策となります。

また、水そのものだけでなく、水分を摂取させる工夫も欠かせません。
水分含有量が約80%あるウェットフードを備蓄に加えることで、食事と同時に水分補給を行うことができます。
ストレスで水を飲まない個体でも、香りの強いウェットフードなら口にしてくれる可能性が高まります。

さらに、給水用のアイテムも事前に準備し、使い慣れておく必要があります。

折りたたみ式のシリコンボウルや、飲まなかった水をボトルに戻せる一体型のトレーなどは非常に便利ですが、災害当日に初めて使うと、素材の感触や操作音に驚いて水を飲んでくれないことがあります。

普段のお散歩や外出時からこれらの給水アイテムを使い、ペット自身に慣れさせておくことが、パニック時の脱水症状を防ぐ確実な予防策です。 避難所では満足に洗い物ができない可能性があるため、ボウルに被せて使い捨てできるビニール袋をセットにしておくことも有効です。

今日からできる最初の一歩として、まずは愛犬・愛猫に必要な7日分の水の量を計算し、スーパーやインターネットで軟水の確保を始めてください。

そして、今使っている防災リュックに最初の2日分の水を入れ、給水ボウルがすぐに取り出せるかを確認しましょう。

災害はいつどこで起きるかわかりません。今日からできる最初のアクションを一緒に起こしていきましょう。

当法人では、こうした具体的なノウハウを詳しくお伝えする「ペット防災セミナー」を全国で開催しています。

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